つれづれ

能登の旅-2 〜恋路号は往く〜

投稿日:2006年10月16日 更新日:

〜1998年の旅行のお話です。8回にも及ぶ長編。
旧コンテンツからまとめて引っ越ししたものなので、物好きな人は読んでね〜

第1話はこちら
3/27金(2日目)
AM 8:00頃
目が開き、左右を見ると昨晩と同じくKが居た。
私は「9時に起きる」といって再び眠った。
ほぼ約束どおりに目が覚め、髪をセットし(寝癖を直したというかも知れない)着替えて精算の準備をした。
金沢駅までのシャトルバスが出るのが9:40と言うことで準備ははかどっていた。20分頃「そろそろ行こうか」というとMが居ない。全くいつもマイペースで苛立ってきたのでマイク呼出だ!!
「ポン ポン ポーン、埼玉県よりお越しのM様、M様。お連れ様がお待ちです。至急フロントまでお越しください。」
Kと二人でケラケラ笑いをこらえながら、Mが恥ずかしそうに現れるのを待ち続けた。
それから10数分、まだ現れない。本当にバスが行ってしまう。
1時間に1本しかない無料バス。タクシーはお金がかかるからなるべくなら・・・。
Mが来た 野次を飛ばして精算口へ急ぐ。
そこでK、学生証?そうKは美大の2部に通っているのだった。学割とはずるい!! そうこうしている間に本当にバスは居た。靴を履いて速足でバスへ向かう。それでもMはマイペース、ゆっくり靴を履き、荷物を整え、歩いてくる。2人でバスに乗ってMを見守っていると、ドアが閉まった(汗)。
運転手さんに頼んで待ってもらったのに全くマイペースでクールなM。(怒)
そして 金沢駅。


今日は戸倉温泉を経由して、珠洲にある「ランプの宿」に宿泊するのだ。とても趣があって楽しみな宿。
切符を買い改札を抜けて、駅弁「能登牛飯弁当」を買う。ローストビーフがご飯の上に乗っていてタレをかけて食べるご飯だ。おいしかったぞう。でも見本の写真はステーキ弁当の様だったんだけど・・・
そして 電車の着く数分前にビールを買う、暖まらないようにだ。
金沢から、戸倉温泉で能登恋路号へ乗り換え、珠洲へ向かう。
ここで 私の何気ない好奇心の発言が長い待ち時間を生むことになるとは・・・。
弁当とビールを流し込み、間違えて買った急行券を特急券に精算してから、終点までの1時間ばかり眠りに就いた。
雨が降っていたので景色も良く見えず、昨日の眠りが浅かったのか、日頃の睡眠不足か とても良く眠れた。
実は能登恋路号は穴水(戸倉の一つ前)発で、ほとんどの客はそこで乗り換えていたのだった。それを知ったのはとなりの線路にそれが止っていたから。戸倉温泉で20分ほど恋路号を待つ。席は向かい合うようには乗れず、2列に別れた。
「どっかで降りたり、各駅停車の旅がいいよう」と私。
この一言に2人が優しく付き合ってくれたのだった・・・。
「どこで降りようか?、そうだね、半分くらい各駅(停車)で行く? でも宿に5時過ぎになる時は連絡くださいとか、珠洲からのバスの便もわからないし、タクシーも今までの駅からするとあるかどうか・・・ じゃあ 途中下車にしよう。この恋路って駅が何だか気になるよね、軍艦島って言うのもあるし」と恋路下車が決まった。
恋路で0:30頃下車、本当に何も無い。山際にある恋路駅、200m位先は海岸線。たまーに鐘の音がするが何だろう。
屋根着きの待合ベンチが8人分程。とその間にガラス戸があり その中には都道府県別のメッセージノートが積んであった。
「恋路」という名に因んで縁結び的な物を求めているものが多い。
ふと 次の電車はいつだろうかと気になった。何せ 本数が少ないから。時刻表を見るとやはり・・・
2:50頃だった。2時間も時間を潰さなきゃならない。
「電話無いかな? 宿に電話しないといけないね」と見回しても15m位のホームで改札も何も無い。さあ 電話を探そう、駅内は左右を見回して終わり、電話の案内看板を見つけた。 駅から海岸線に向かって坂を下り海岸沿いの国道の駐車場脇にあるらしい。しかも雨だ、しとしとと降り続いている。私は傘を忘れてしまった。MとKは折畳みを持っているので入れてもらうつもりだったが、荷物が大きいし折畳みは小さいので少し入れてもらったが、諦めた。金沢では何とか雨は止んでいたので買いはしなかったのだ。後悔の念。
海岸通りを越えると、数メートルの所まで波が寄せてきている。
日本海の水はとても透き通っていて奇麗だった。その駐車場の脇には釣り鐘が有って、はっきりとは覚えていないが、縁結びだか 幸せの鐘だかだった。これがさっきから時々鳴っていたもののようだ。向こうをカップルが二人で歩いている。
とりあえず鳴らすだけ鳴らして、道沿いに何か無いか見たが、民宿と海の家数件のみ。民家もほとんど無い。シーズン以外は客なんか全く来ないのではと思ってしまう様な人気だ。他の二人は温かい飲み物を買って少しばかり身を暖めようとしていた。
それにしても スェードのハーフコートを着ていたのがビショビショだ。少しでも皮が直接濡れないように裏返しに着た。嗚呼冷たい(涙)。
向こうに見える鳥居のある離れ小島に行った。砂浜からやっと人一人歩ける位の道というか多少の盛り上がりがあり、そこを歩いて鳥居の下まで行ったが 鳥居があるだけで 他は何も無い。その後にある島は何だろうか?と気になるが松が数本生えているだけの様にも見える。けど、行くにはふくらはぎ位までは水に浸からなくてはならないからやめておいた。それにしても水が奇麗だった。
Kは数枚の写真を撮り、それから3人はトンネルの中で時間を潰しながら雨宿りしていた。さて、雨宿りというかトンネルの中でボーっとしているのにも飽きて、宿に電話もしなきゃねと電話へ向かった。
rain-koiji.JPG
Kが電話をすると、駅からのバスは3時過ぎに1本。その後は5時過ぎだそうで、今からすぐ電車に乗ればギリギリの時間だろうが、電車は後1時間近く来ないので、暴れても焦っても状況は変わらず、ホームで残りのワインを飲み優雅なひとときを過ごそうということにした。でも、珠洲の駅前で更に1時間潰すというのはとても大変なことに思えてた。
ホームにまた向かって再び歩いていく。酒を飲みに向かうのは何故いつもワクワクするのだろうか?
さて ホームに戻り、びしょ濡れの裏返しコートを脱ぎ木のベンチになるべく乾きのいいように広げて置いた。早速のワインタイム!! 使い捨てのコップへ半分くらい残ったロゼを3等分して乾杯する。「Kの幸せに乾杯!!」このKとは私のことだ。何だか結婚祝いの場になっている。こんなのいいのに。私は皆で元気に会えたことに、楽しい旅に来れたことに乾杯したいし、改めてそれも祝って乾杯をした。3人で線路に降りて写真を撮ったり乾杯シーンを記念撮影したりした。Kは例のノートに何か記したようだし。コートを脱いでいた私はアルコールを飲んだのと、じっとしていることで寒けがしてきた。涼しい位だったが、もう少ししたら寒くなったんだろう。Kがジャケットを貸してくれた。薄くても温かかく助かった。そう言えば、少しでも濡れないようにとKから帽子も借りていたんだった。頭が濡れるのと濡れないのでは、風邪の引き具合も気分的にも違うもんね。
しばらくすると、地元のおばあさんがやって来て、登り方面に行くのだという。でも上りはあと30分位しないと来ないよ、大体見当は付けていたみたいだが当てが外れて帰っていった。電車の時間まであと十数分、先ほど一緒に降りた人が戻って来た。ちょこりちょこりと話しかけてくるが、Kは本題にしか返答しないのですぐに会話が途切れる。私とMもKが対応しているし、質問には答えていたので 話すことはなく黙っていた。
さて電車が到着した。乗り込み眠っていたら珠洲へ着いていた。終点一つ前なので寝過ごしたら大変な所だったが、人任せにして気持ち良く眠っていたのだった(笑)
<続く>

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