つれづれ

秩父のキャンプでの出来事

投稿日:2007年7月17日 更新日:

蒸し暑い季節が近づきつつあります。
これは実際に友人と過ごした夏のキャンプでの出来事です。
それは 確か・・・ 1994年8月。
高校時代の同級生と3人でキャンプへ行った。
仕事の休みが取れないこともあり、必然的に時期は盆近く 場所は秩父。
キャンプ場を予約するでもなく、キャンプサイトを探しながらのドライブで川沿いの道を登ってゆく。
ふと脇道を見つけ試しに降りると、ちょうど川に降りるための車を置くスペースらしきものもあった。
辺りを軽く散策しそこにキャンプを張ることに決めた。
車を置く為の場所らしいというのは、丁度車を止めるのに丁度いい程度の広さにワラが敷き詰めてあったから。
そしてその隅には女物の靴が片方泥のついた状態で置いてあった。
多分誰かが忘れていったのだろう・・・。
一応その靴は踏まないように車を止め、サイトを張り、川で遊んでバーベキュー。
そ し て 、  日 は 暮 れ た ・ ・ ・ 

辺りは明かり一つも無く、数十分程するとトラックが過ぎる音が聞こえる程度。
用を足すのも明かりが無ければ、否、テントからも出れないくらいの暗闇だった。
アウトドアでの眠りと目覚めは早い。
ジャンケンで位置決めをし、私は真ん中、他の2人は川側と林側。
眠りに就こうと3人がテントで頭を並べて横たわり、
川のせせらぎって結構大きい音だなあと無意識に聞いていた。


すると
「バシャバシャ」
しばらくその音は続き、次第に女の子(幼稚園児〜小学生低学年くらいなイメージが何故か分かる)
がはしゃいでいる声が確実に聞こえてきた・・・。
その上 その子の気配もはっきりと感じられる!
無論子供がこのような時間に川で遊び廻るはずは無いだろうし、
明かりもやはり辺りには感じられない・・・。
いくら地元の子供でもこんなところで遊ぶはずは・・・。
流れも、それなりに足を流されるほどの勢いはあるのだ。
ありえないと思うと耳を塞ぎはやく眠りに就いてしまいたくなった。
他の二人は起きているのだろうか?
だがもし寝ていたり、起きていても気づいていなければ
むやみに怖がらせても悪いので黙って朝まで待とうと思った。
その後、もう一つの気配が・・・。
水辺で遊ぶ子供を気遣う親の気配・・・。
声が聞こえるわけではないが気配がはっきり感じて取れる。
冷たく, そして永い時間が流れていった。
シュラフに潜りうずくまって時が経つのを待った。
そして朝、昨晩の事を3人が同時に切り出した・・・。
友人の一人は親の気配が父親であることまで分かったという・・・。
さらに、林側に眠って居た友人は 外で女性がか細く何かを探しながら呟いている声らしきものが聞こえたという。
翌日川沿いを散策していると、数十メートル下流に鎖でがんじがらめの吊り橋と異様な廃屋
(分校のようイメージの建物)を見つけたが関連性は全く分からない。
ただ昨晩とオーバーラップして余計に不気味に感じられた。
迷った揚げ句にそこにもう一泊したがその夜は何も起こらなかった。
寝場所を決めるジャンケンに自然に熱がこもったのは言うまでもないだろう・・・。
※この文章は『逢魔が時物語』に収録されたものです

-つれづれ
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

黒部の太陽(2009ドラマ版)

先日二夜連続で放映された フジテレビ開局50周年記念ドラマ特別企画 黒部の太陽を見ました。 主演は香取慎吾、骨太でなかなか良い存在感でした。 深田恭子は元々可愛いけど、やせて本当に綺麗になりましたね。 …

no image

現場実習の話

私の在籍していた高校では現場実習という、授業の一環として企業研修の様な実習が2週間あります。 一社に数人という派遣で、希望をとり割り振って決められました。 私は建築事務所に実習に行きました。内容は建築 …

no image

死を喚ぶカスタムバイク

それは数年前の夏、A県A市に墓参りに訪れた時でした。 秋田市の寺町というところで、その名の表す人通りの少ない通り寺が多い街並みでした 陽炎が揺らぐような暑い日中、 ぽつりと一台のバイクが佇んでいました …

戦艦大和と祖父の話

が公開されますね。小さい頃から祖父が誕生日、クリスマス、こどもの日には戦艦大和や零戦などのプラモデルをプレゼントしてくれました。 それも特大の箱に入った物です。 小学生の頃両手を広げたくらいの大きさが …

no image

初個展の記録5 出力編

〜これは、ある男の苦難と試練を乗り越え 個展への夢を実現させるまでの汗と涙の物語である〜 ※この文章はメールマガジン『悩めるグラフィッカーズ』に99/5-2000/7の間に掲載した奮闘記を再編集し直し …