あれはもう10年以上も前のこと。
バイクに乗り初めてまだ初心者の頃、
富士スピードウェイにドラッグレースを見に行こうとしたときでした。
夜明け前に出発し自由席のよい場所を取ろうと意気込んでいましたが、
怪しい雲行きで雨が出発後すぐにしっとりと降り始めました。
中止になるかどうかの際どい状況で、
奥多摩から脇道で小菅村方面に入る国道139号を抜けて行くルートを予定していました。
誘っても来る友人の当てもなくバイクで出掛けたかったので一人でした。
奥多摩街道の分かれ道の手前で問い合わせしたのですが、
まだ開始まで時間があり中止かどうかはまだ判らないとのことなので、とりあえず進むことにしました。
道を折れ、山に分け入って行きました。
しばらく行くと大掛かりな工事現場があったりして物々しい雰囲気がありました。
その時は狭い道でしたが今は立派な抜け道になっているのでしょうか・・・
しばらく行くと人気が無くなり、本当に抜けられるのだろうかという道になってきて
所々未舗装路になってきました。
そんな道を慎重に進むとぽっかりと口を開けた漆黒のトンネルでした。
感覚的にいうと直径3メートルくらいのブリキでできた蛇腹状の管に潜っていく感じです。
本気で引き返そうかと思いましたが、
戻るとスタート時刻に危ないので手前にバイクを停めて
ヘッドライトで照らされたトンネルを歩いて少し覗いてみました。
長さは数十メートルで向こう側が見えるのですが、
まるで何かの食道の様なヒダが異様に不気味で地面は舗装はなく深いわだちに水が溜まり、
はまってしまうかもしれないという不安にさいなまれました。
かなり迷った揚げ句、他に道は無かったので慎重に進みました
降り掛かる反響音、吸い込まれる光、いわれもない不気味さと湿気・・・
無事何事もなく通り過ぎましたが、あの雰囲気と暗さはやばいですあのトンネルだけは2度と通りたくないです
本能的になにかヤバい、入ってはいけないって思うのは
第六感なり本能なりの身の危険を感じる感覚があるからなのでしょう。
ただの闇と、こういう何か感じる漆黒は闇の深さが違う気がします。
※数年前の話ですが、あの地域は大規模な工事が進んでおりましたので大きなトンネルになっているかもしれませんね